株式会社イーテック

 

企業の中にアークスの存在が見えた瞬間

株式会社イーテック
代表取締役 小野志郎
& アークス総合会計事務所 佐久間徹

アークス総合会計事務所 佐久間徹

アークス総合会計事務所 佐久間徹

かつて水は、水道の蛇口から出てくるものが全てだった。だが現在は、飲み水といえばペットボトルのミネラルウォーター、もしくは浄水器を通したもの。それは一部の富裕層に限ったことではなく、ごく一般的なこととなりつつある。ここ10数年の間にそのニーズは、急カーブを描いて上昇しているのである。株式会社イーテックの代表取締役である小野志郎氏はフィルターメーカーのサラリーマンだった時代、自身がアレルギー体質だったことも重なって浄水への関心が人一倍高く、このジャンルに伸び代があることを確信していた一人である。そしてやがて独立し、この業界に脚を踏み入れた。

最初は当時実績のあった逆浸透膜浄水器の販売から始めたが、これは伸び悩んだ。そんな矢先、とある顧客から「お風呂用の浄水器はないのか」という相談が。これが方向性を改めることにつながり、現在の主力商品である「家じゅうまるごと浄水器」は誕生した。アトピー性皮膚炎を代表に、近年は肌に関するトラブルを抱えている人が増えてきた。良質な水に対する要求はもはや、飲み水だけではなくなってきている。「いっそのこと、水道管のもとの部分に浄水器を入れ、家庭内の水を全て浄水にしてしまえばよいのでは?」。小野氏はこの発想から研究を重ね紆余曲折を経た結果、「家じゅうまるごと浄水器」は徐々に評判を得て、事業は軌道に乗り始めた。

▼事業を知ることで培われるサポート力

「それ以降はここまでの11年間、おかげさまでずっと増収できている。でもあの時、佐久間さんが助けてくれなかったらどうなっていたか……本当に感謝しかない」。小野氏は「家じゅうまるごと浄水器」で法人化へとステップアップした当時を振り返る。

年商わずか70万円でスタートしたイーテックはその後、倍々ゲームのごとく業績を伸ばしていく。数百万円レベルまでは小野氏自ら会計業務を賄ってきたが、1千万を超えた4期目、とうとう実務と会計業務を兼務することが無理な状態に陥ってしまったのである。ところがバイタリティーあふれる小野氏は、ギリギリまで自身でなんとかしようとした。音を上げたのはこともあろうか、申告締め切りの2週間前だった。絶体絶命の窮地に追い込まれた小野氏は、ここでようやくコンサルタントに相談しアークス総合会計の佐久間徹を紹介される。この状況となってから“なんとかしてほしい”というのは誰が聞いても虫のいい話なのだが、佐久間は「普通ならば断わる話かも知れない。しかし、誰かサポートしなければ申告はクリアできない」。その役目を自らがやろうと引き受けた。それから連日にわたる二人の夜中までの作業は続き、イーテックはなんとか4期目の申告を切りぬけた。

企業はただ、生産的なことだけを追い続ければよいというわけではない。これは何事もワンマンでこなしてきた個人起業家が陥りやすいトラブルであり、実際実務に大きな影響を及ぼしてしまった例も少なくない。小野氏ももちろん、それが分かっている。だからこそ年に数回しか会わなくなった今でも、佐久間に対して感謝の念を強く抱きつづけているのである。

8年前に窮地を救っただけではない。「イーテックはメーカーでありながら直販も行うなど特殊な会社だが、事業内容は充分理解できているので、今は年に2~3回の打ち合わせで問題はない」。佐久間がこう語るのも当然である。取材前、佐久間の口から事業に関する説明を聞いたが、これが実に明快だったことに驚いた。完全にイーテックの中に溶け込んでいるようにさえ見せる存在感は、8年前の出来事がインパクトを残しているからではない。担当企業を理解しようとする、その後の佐久間の努力によるものであった。取材後二人は雑談を始め、やがてイーテックの未来の夢について語り合いはじめた。その時、佐久間の存在はまるで、もうひとりの会社代表のように見えた。

イーテック株式会社 代表取締役 小野志郎 & アークス総合会計事務所 佐久間徹

イーテック株式会社 代表取締役 小野志郎
& アークス総合会計事務所 佐久間徹

もうひとつ、佐久間のイーテックにおける存在感を示した瞬間があった。「あら、髪型変えたんですね」。取材に訪れた際、女性社員のひとりが会っていきなり声をかけた。年に2~3回しか来訪しない会計事務所員と、財務担当ではない社員との会話とはとても思えなかった。