今回は、逓増定期保険の活用法と
メリット・デメリットについてご紹介いたします。
1.逓増定期保険とは
保険期間満了までに保険金額が契約当初の金額から
5倍以内の範囲内まで増加する定期保険を言います。
満期保険金がない掛け捨ての保険ではありますが、
解約返戻率が契約後、早い段階で高くなることが特徴です。
※税法上の逓増定期保険…以下の条件を全て満たすもの
・保険金額が加入時の5倍以内まで増加するもの
・保険期間満了時における被保険者の年齢が45歳を超えるもの
2.損金算入額について
被保険者の年齢や保険期間により、損金算入できる割合は
変動します。逓増定期保険の保険料の損金割合は
下記の表に定める区分に応じます。
3.解約返戻金について
契約後5年~10年ほどで支払った保険料の100%に
近い返戻率になります。ただ、あくまで掛け捨ての
定期保険の一種の為、返戻率のピークを過ぎると
徐々に解約返戻金は減っていきます。
4.法人で導入した場合のシミュレーション
・契約者(保険金受取人)…法人 ・被保険者…社長
・契約年齢…50歳 ・払込期間…20年
仕訳
・最初の6割…1~12年目(12年)
支払保険料 500,000//現金 1,000,000
保険積立金 500,000
※12年間の保険積立金 6,000,000円
・残りの期間…13~20年目(8年)
支払保険料 1,750,000//現金 1,000,000
保険積立金 750,000
・14年目…役員の退職時期になる。退職金支払額:7,100,000円
保険積立金の残額を取り崩し、解約返戻金との差額を雑収入で処理
払込に対する解約返戻率…95%の場合
現金 12,350,000//雑収入 7,100,000
保険積立金 5,250,000
退職金 7,100,000//現金 7,100,000
5.メリット
・財務強化対策
法人税上の取扱では、逓増定期保険の多くが支払った保険料の1/2を
損金として処理することができる為、当期利益を抑えることにより
課税の繰延につながる。
・大規模な設備投資を将来考えている場合
将来、大規模な設備投資を予定している場合に
高い解約返戻率が当たるように設計することで
資金に困らない。
・死亡や高度障害などの万が一のリスクに備えることができる。
・退職金の準備としての活用
役員の退職時期に高い解約返戻率が当たるように
設計すると、キャッシュアウトしても事業に影響を及ぼさない。
6.デメリット
・保険料が高額
・契約返戻金の利用目的がないと単なる雑収入となり
一気に法人税を計上することになる。
7.最後に
将来の支出に備え、戦略的に資産形成をするための
1つのツールとしてご活用いただけると思います。