移転価格税制について①

ニュースで時折話題になる「移転価格税制」。

この税制は、実は導入されてから30年ほど経つのですが、いまだに広く定着した制度とは言えず、
多額の追徴課税を伝えるニュースを見かけることと思います。

近年の移転価格を取り巻く環境の変化(国際課税への関心の高まり、企業のグローバルな国際展開、
BEPSプロジェクトの進展、移転価格文書化制度の整備等)を受けて、今年6月、国税庁は
「移転価格ガイドブック ~自発的な税務コンプライアンスの維持・向上に向けて~」を公表する
など、現在でも新しい展開を見せています。

今月はこの「移転価格税制」について取り上げたいと思います。

まずは、この税制の概要についてご説明いたします。

(1)移転価格税制とは

移転価格税制とは、法人と国外関連者(※1)との間の取引(以下「国外関連取引」といいます。)
を、独立企業間価格と異なる価格で行ったことにより、その法人の所得が減少する場合に、
その取引が独立企業間価格で行われたものとみなして、法人税の課税所得を計算する制度です。

国外関連取引における取引価格の「移転価格」を、資本・支配関係のない独立した第三者との
第三者間取引における取引価格の「独立企業間価格」に計算し直すことで、国際間取引における
適正な課税関係を維持することを目的とするものです。

 

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※1.その法人との間に50%以上の株式の保有関係等の特殊の関係のある外国法人をいいます。

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例えば、通常の価格よりも低い価格で国外の関連者に製品を販売、あるいは通常の価格よりも
高い価格で国外の関連者から原材料を仕入れることによって、企業の所得が減少していると
認められるならば、その取引価格は独立企業間価格に基づいていないものとし、移転価格税制の
適用により課税所得の更生を受けることになります。

 

国外関連取引における移転価格が適正か否かの判断の基準こそが「独立企業間価格」となりますが、
日本における独立企業間価格の算定方法は、経済協力開発機構(OECD)租税委員会が策定する
「OECD移転価格ガイドライン」で認められた方法に沿ったものとなります。

 

次回は(2)移転価格税制の課税方法 についてご説明いたします。